子宝ロダンは、ブロガーである。
他人のセックスを克明に報告するブログをあげている。
まわりが、ことごとく妊娠する、ゆえに「子宝」と名乗る。
いつか「子宝教」を興すつもり、らしい。
「ロダン」はオーギュスト・ロダンに憧れて。
「彫刻をひたすらに創り続けて生きる——なんとうらやましい人生であることか」
プロフィールを読むかぎり、まったくいい加減で、ペテン師のような男である。
圭介は不倫をしている。相手の女性が妊娠し、彼女の夫との関係も最悪になるなか、困り果てた圭介は、ある男に会いにいった。子宝ロダンと名乗るあやしいブロガーである。圭介は、子宝ロダンから黄色いビー玉を買わされる。1個百円の黄色いビー玉。
「手放しの玉」と、子宝ロダンは呼んだ。
「手に入れたら、すぐに捨ててください。家のゴミ箱はだめです。外に放り投げてもだめ。捨てたら、きっと、おもしろいことが起こります」
数日後、ビー玉は、不倫相手の下腹部から出てきた。そんなことが、ほんとにあるのか?